フリーランスコンサルタントが支払う税金と税額の目安

フリーコンサルタントとは

2022年7月7日

「Professional Hub(プロフェッショナルハブ)エージェントの葉葺と申します。」

「フリーランスとして働くコンサルタントは、正社員と違って税金を支払うためにさまざまな作業・手続きを自ら行う必要があります。税金の種類や確定申告の方法など、事前に情報を押さえると進めやすくなります。支払う際に慌てないように、具体的な例と併せて、知っておくべき情報を解説します。」

目次

  1. フリーランスが支払う税金の種類
  2. フリーランスが経費として計上できる税金
  3. フリーランスの所得税に関する確定申告の方法
  4. フリーランスが税金の確定申告をしないとどうなる?
  5. フリーランスが支払う税額の目安
  6. まとめ

1.フリーランスが支払う税金の種類

はじめにフリーランスコンサルタントが支払う税金について紹介します。

主に発生する税金は以下のとおりです。
・所得税
・住民税
・個人事業税
・消費税
・固定資産税
・国民健康保険税・国民年金税

それぞれの税金について、詳しくみていきましょう。

所得税

所得税は売上から経費や控除項目を差し引いた金額である所得にかかる税金です。毎年1月1日から12月31日までに発生した所得に対し、一定の計算方法で算出した税額が課せられます。
コンサルタントを含めフリーランスとして働く人は、自身で所得税の計算・納税が必要です。所得税を確定させ報告する作業が、確定申告と呼ばれます。
なお所得税は所得が大きいほど税率が上がる「累進課税制度」がとられています。所得金額によって使用する税率および控除額が異なるのでご注意ください。

確定申告の詳細は後述します。

住民税

住民税とは都道府県および市区町村といった自治体に支払う税金です。

会社員など給与の支払いがある人は給与から天引きされる形で納付を行いますが、フリーランスの場合は納付書を使って自身で支払手続きを行います。

住民税は所得割と均等割によって構成されています。

所得割は所得税と同様、所得に応じて税額が大きくなる部分です。前年の1月1日から12月31日までの所得に税率を乗じて計算します。
均等割は所得に関係なく、必ず定額で徴収される部分です。

住民税は所得税の確定申告を行えば、自治体が計算・納付書の発行をします。確定申告後の5~6月あたりに納付書が届くため、そちらを用いて納付が必要です。

個人事業税

個人事業税は個人事業に対して支払う税金です。所得が290万円を超える場合に、超えた部分に対して税金が課せられます。

個人事業税も所得税の確定申告の内容をもとに、都道府県が計算し納付書の発行をします。
個人事業税は業種によって税率が異なる点に注意が必要です。コンサルタント業は個人事業税の対象であり、税率は5%です。

※同じフリーランスであっても、業種によっては個人事業税対象外の場合もあります。

消費税

消費税は国内取引の多くで発生しますが、必ずしも納税義務者になるとは限りません。消費税は前々年の課税売上が1,000万円を超えた場合に課せられる税金です。

たとえば2020年の1年間で1,500万円の課税売上が発生した場合、2022年度分は消費税の確定申告が必要です。
また前年の1月1日から6月30日の課税売上高、または給与支払額が1,000万円を超える場合も消費税の課税対象となります。
フリーランスコンサルタントは職業柄、課税売上が1,000万円を超えるケースが多いため、消費税の支払い義務についても注意しましょう。

消費税の納税義務がある場合、所得税とは別に、消費税の確定申告書の作成も必要です。

※ただし、2023年に導入されるインボイス制度によって本内容は仕入税額の控除について変更が行われる予定になっているので、注意が必要です。

▼消費税についてもっと詳しく知りたい方はこちら

フリーコンサルタントの消費税請求や支払いの仕組み、いま話題のインボイス制度について解説

固定資産税

固定資産税は持ち家など固定資産に課せられる税金です。確定申告などの作業は必要なく、自治体から届く納付書を使って納税します。

フリーランスなら必ず課せられる税金とは限りません。たとえば自宅を仕事場にしており、その自宅が持ち家で固定資産と考えられる場合などに発生します。

国民健康保険税・国民年金保険税

国民健康保険税とは、国民健康保険の加入に際して課せられる税金です。

会社勤めなどの場合は会社を通して社会保険に加入するのが一般的ですが、フリーランスの場合は国民健康保険へ切り替え、保険料の支払いを行います。
金額は所得金額に税率を乗じて計算されます。所得税の確定申告をもとに納付書が郵送されるので、自身で特別な手続きは必要ありません。なお利用する税率は市区町村によって異なります。

国民年金保険税(国民年金保険料)は年金給付のために支払う金額です。こちらもフリーランスとして独立したら自身で切り替えの手続きを行います。国民健康保険税と違い、所得金額に関わらず金額は一律です。

2.フリーランスが経費として計上できる税金

基本的に税金は経費として計上できません。住民税や所得税、国民健康保険税などは売上から控除できる項目ではないので注意が必要です。

ただし紹介した税金のうち、個人事業税と仕事場である自宅にかかる固定資産税は経費として計上できます。その仕事をしているから発生する特定の税金であれば、仕事と関係ある税金として認められるのです。

▼経費についてもっと詳しく知りたい方はこちら

フリーランスとしての経費の考え方

3.フリーランスの所得税に関する確定申告の方法

フリーランスがほぼ必ず必要な作業が所得税の確定申告です。売上から経費を差し引いた所得が48万円を超える場合、確定申告をしなければなりません。

所得税の確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

白色申告:最低限の作業のみで済む。単式簿記という簡単な記帳(会計取引の記録)のみで問題ない。届出は不要、控除は特になし

青色申告:開業届と青色申告承認申請書の提出が必要。単式簿記かつ確定申告書B・青色申告決算書のみを提出する場合は10万円、複式簿記かつ追加で貸借対照表も提出する場合は65万円の控除を受けられる

青色申告の場合、所得額から差し引ける青色申告控除が適用できます。そのため支払う税金の額がより小さくなり、節税が可能です。ただし書類提出や記帳などに手間がかかります。

他にも所得から差し引ける控除項目として、以下のような内容があります。

・社会保険料控除
・生命保険料控除
・基礎控除(誰でも必ず受けられる一定額の控除。2021年現在は48万円)
・医療費控除
・寄付金控除

控除項目はさまざまな種類があり、適用条件も細かな規定があるので事前にご確認ください。

その年の確定申告は、翌年2月16日から3月15日の間に報告・納税が必要です。3月15日が土日の場合、翌月曜日が期日となります。

ただし、納税額が一定以上(予定納税基準が15万円以上)となった場合、2年目以降に予定納税と言う事前の支払いが7月と11月に発生します。
それぞれ予定納税基準額の3分の1の金額(予定)を納めることになりますので前もって準備をしておきましょう。
もし先払いの支払い額がその年の所得税額より多くなってしまっていても、確定申告で戻ってくるので安心してくださいね。

4.フリーランスが税金の確定申告をしないとどうなる?

もし所得が発生しているにも関わらず、確定申告をしないとどうなるのでしょうか。
主なペナルティは以下の2点です。

・無申告加算税:申告を怠った事実に対する罰金のような性質、本来の納税額に加えて加算される
・延滞税:納税遅れに対する罰金のような性質、支払うべき金額に税率が課せられ、日を重ねるほど大きくなる

悪質な無申告や脱税などの場合、刑事罰に問われる恐れもあります。

5.フリーランスが支払う税額の目安

最後にフリーランスが支払う税額の目安について、モデルとしてAさんに課される税金を実際に計算しながら見ていきましょう。

※税額の計算方法は扶養家族の有無や控除項目によって大きく異なるため、あくまで参考程度としてご利用ください。

モデル「フリーコンサルタントのAさん」

・職業:フリーランスのコンサルタント
・住所:東京都中央区
・年齢:35歳
・扶養家族:無
・固定資産:無
・申告区分:青色申告(65万円控除)、原則課税方式
・経理処理:税抜経理方式
・売上:1,500万円(税抜) 消費税150万円
・経費:300万円(税抜) 消費税30万円
・所得控除額:基礎控除48万円
※通常は健康保険料などの支払いによる社会保険料控除もありますが、簡略化のため今回は省略します

まずは所得税の計算です。

所得が900万円を超え1,800万円以下の場合、税率は33%、控除額は153.6万円です。また青色申告の65万円控除が適用できます。
(売上1,500万-経費300万-青色申告控除65万-基礎控除48万)×33%-153.6万=205.11万→205万1,100円

続いて住民税です。

中央区の住民税は均等割が5,000円、所得割が10%です。また住民税の計算では基礎控除が43万円となります。
(1,500万-300万-43万)×10%+5,000円=116万2,000円
※調整控除など細かな内容は省略

個人事業税の計算には基礎控除の適用ができません。収入から経費を引いた額に、コンサルタント業の税率5%を乗じます。
(1,500万-300万)×5%=60万

消費税は原則課税方式の場合、売上にかかった消費税から経費にかかった消費税を引いた額を納税します。
150万-30万=120万

固定資産を持っていないため、固定資産税は発生しません。

最後に国民健康保険税・国民年金保険税です。

今回は令和3年度の料率・金額で計算します。

国民健康保険税
均等割額 3万8,800円+1万3,200円=5万2,000円
所得割額(1,500万-300万-基礎控除43万)×9.54%=110万3,778円

ただし中央区は年間限度額が82万円のため、今回は上限額である82万円となります。
国民年金保険税:月額1万6,610円×12ヶ月=19万9,320円

よって、発生する税額の合計は以下のとおりです。

所得税205万1,100円+住民税116万2,000円+個人事業税60万円+消費税120万円+国民健康保険税82万円+国民年金保険税19万9,320円=603万2,420円

※繰り返しますが、税額の計算方法は扶養家族の有無や控除項目によって大きく異なるため参考程度にご利用ください。

まとめ

フリーランスに課される税金にはさまざまなものがあります。税金の種類や性質を押さえると、手続き・支払いが進めやすくなります。

確定申告は難しいイメージがあるうえ手間もかかりますが、申告を怠るリスクが非常に大きいです。フリーランスとして働くコンサルタントの方は、期日までに必ず確定申告を行いましょう。スムーズな手続きのためにも、早めの情報収集や着手が大切ですね。

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